検証-一万円で作れる真空管アンプとは

デフレだか何だか知らないけれど、最近自作真空管アンプの部品って、かなり安く手に入るようになっていると思いませんか?
もし、一万円という金額を区切って真空管アンプを作るとなると、一体どの程度のものが可能なのか、検証してみたいと思います。

ルール:

今回は一万円という金額で、寝室用のアンプとしてある程度は満足の行く性能の真空管アンプを作ることを目指します。
また、金額のベースは通販サイトの金額とし、送料は考慮しないものとします。

真空管:

フロービスさんのサイトで8B8がペア1200円でした。8B8と言えば、有名な6BM8のヒーター8V版。今回はこれで行きます。

トランス類:

真空管アンプを作る時、なんと言っても高価なのがトランス。春日無線トヨデンのサイトを巡って一番安いのを選択。
電源トランスはセパレートトランスのTZ11-010A。出力トランスはOUT-41-357。どちらも本来もう一ランク上のものを使いたいところですが、予算のため断念です。
ヒータートランスは16Vのものを選択し、8B8のヒーターを直列に接続します。

回路:

真空管が6BM8相当なので、回路は色々と選択肢があります。今回はぎちぎちにコストをカットして作るのでは無く、一万円で普通に作るとどうなるかを調べるのが目的なので、特に奇を衒わない普通の二段アンプとします。
予算の関係でトランスの定格が低いので、電圧電流共に控えめ、小出力(2W+2Wも出れば良い方か)のアンプとなりました。


実体配線図:

左右分を含めた全体の実体配線図。アースの引き回しとかも考慮して書いてあるので、このまま作って動きます(たぶん)。



値段:

例によって部品の値段は、通販を行っているサイトいくつかから現時点での金額を引用しました。送料は考慮していません。で、金額はと言うと・・・。

真空管

備考 価格 個数 参照サイト
真空管 8B8 (pair) Amperex 1200 1 フロービス
ソケット MT9 タイト 100 2 フロービス

電源部

備考 価格 個数 参照サイト
電源トランス TZ11-010A 1,155 1 トヨデン
ヒータートランス HT-161 1,155 1 トヨデン
C1 350V/330μF 189 1 若松通商
D1〜D4 1N4007 21 4 若松通商
平ラグ板 5P 133 1 サトー電気
R1 酸金抵抗1W 21 1 サトー電気
C2 400V/22uF 105 1 若松通商

アンプ部

備考 価格 個数 参照サイト
R8 セメント抵抗5W 63 2 サトー電気
R2,R3,R4,R5,R6,R7 カーボン抵抗1/4W 15 12 サトー電気
C3 22μF/16V 21 2 サトー電気
C4 0.1μF/250V 53 2 サトー電気
C5 220μF/50V 42 2 サトー電気
平ラグ板 6P 158 2 サトー電気
OPT OUT-41-357 1,550 2 春日無線

シャーシ部

備考 価格 個数 参照サイト
シャーシ リード S-5 1000 1 若松通商
スイッチ
90 1 秋月電子通商
RCAジャック
40 2 秋月電子通商
ボリューム 100KΩA 50 2 秋月電子通商
ACコード 2Pプラグ 140 1 秋月電子通商
配線材 錫メッキ線1.0mmφ 63 1 サトー電気
ヒューズ 125V 1.5A 42 1 サトー電気
ヒューズホルダ 3cmヒューズ用ネジ込み型 105 1 サトー電気
ワンタッチターミナル 4P(台湾製) 126 1 サトー電気


で、合計はと言うと・・・。9,942円!!やったぜ、1万円に収まったぞ!


まとめ:

自作オーディオって、こうやって色々と考察して、作る準備をしている段階が一番楽しいよね(オイ
回路を引いてパーツリストを作った段階でもう満足してしまったので、考察の項に移行し、終了します。
本当に安さだけを考えるなら、NPO法人 ラジオ少年さんが頒布している安い出力トランスを使うとか、電源トランスレスのヒーターのコンデンサ点火とか、回路にしても特殊な回路で色々あるんですが、まぁそこまでするまでも無く。

8B8がペア1200円で売っていたのを使用しましたが、販売終了したらこの値段で作れなくなると思うならば、例えばアンディクス・オーディオさんで一本700円で売っている8AW8や一本650円の8BH8が、出力は少し小さくなりますが同じように使えます。8AW8/8BH8の場合、ヒータートランスが一つ小さいHT-1605を使え、やはり一万円で収まる計算になります。


とりあえず、自作真空管アンプを始めるにあたっての敷居の低さと、コストについて考えることが出来たので、完了。

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