DENON SC-410改造



このスピーカー、見た目が綺麗だよね。この時代のオーディオ機器のスタイル、好みだなあ。最近のスマートっぽいのはどうにも好きになれん。




ジャンク品として購入し、当初は写真のようにエッジが無くなっていたので、とりあえずウレタンエッジで修理して聴いてみることに。

う〜ん・・・。低音はすごく良く出てるなぁ。高音もすごく良く出てる。だけど肝心の中音域が出てない。いわゆるドンシャリ。
ユニットの特性を測定してみると、3ウェイ用のウーハーとツィーターを組み合わせたみたいな感じ。ウーハーが思いっきり下まで頑張るタイプだ(そのかわり中音域が弱い)。ツィーターも超高音域向けで、中音域側はほぼ使えない。ネットワークをチューニングしてみても、ユニットの特性がそうなもんだから、真ん中がどうやっても出ない。
そこで仕方が無く、アンプのイコライザーで補正してみると、今度はなかなか良い感じになる。スピーカーの高低でうるさくなってゆく周波数と、一般的なアンプのイコライザーで減衰してゆく周波数がちょうど同じくらいで、TrebleとBassを共に下げると、ほぼフラットに聴くことが出来る。
そうか!このスピーカーは、アンプのイコライザーありきで作られているんだな。そういえばこの頃のアンプは、大抵フロントパネルにイコライザーのつまみがあった訳だし。
そう考えると、これはこれでアリかもとなる。当時のユニットでこれだけ広い帯域を出そうとなると、多分大型の3wayになってしまうんだろう。そこで、イコライザーで補正する前提の設計にすることで、16cm2wayでありながら超低域と超高域がどちらも出るようにした訳だ。



と、言うことで一旦落ち着いていたSC-410だが、アンプのテスト用に使っているうちに、過大入力させてコーンが固着してしまった。
せっかくなので、ウーハーを取り替えつつ、チューニングもしてしっかりと使えるスピーカーにしてみよう。



これは、フレームのサイズが同じと言うことで入手した、正体不明ウーハー。オリジナルの物よりコーン紙が軽く、中音域重視のミッドバスタイプなユニットと思われる。フレームのサイズが同じなので、オリジナルの化粧リングがそのまま使えた。
ちなみに、ヤフオクなどで特性不明のウーハーを買うときは、何か塗ってあるときは、コーンの共振を押さえたいと言うことなので低音域重視の3Way用、同心円状にひだがあるときは、コーンの共振を積極的に使いたいと言うことなので中音域重視の2Way用、と覚えておけばまず外れない。ついでに100Hzと1KHzでインピーダンスを測定して補正回路を付ければ、大抵のユニットはおいしく料理できる。正体不明ユニットも色々と遊びようがあって楽しめるので、趣味の自作にはおすすめだ。



こちらは新しく作ったネットワーク。インピーダンス補正回路と、ツィーターのアッテネーターが付いている。



オリジナルの物もある程度の補強が入れられていたが、せっかくなので十字補強を施す。これが一番頑丈。



ついでに、せっかくなのでちょっとは磨く。緑色は研磨剤の酸化クロム。これでピカピカになる。



ウーハーユニットを取り替えたので、箱のチューニングも変えなければならない。バスレフポートを新しくして、新ユニットに最適化する。ユニットが中音域よりになったので、ポートはオリジナルより共振周波数を下げて、箱で低域を出すようにする。
左がオリジナルで右が新しくしたもの。市販のバスレフダクトを買ってきて、カットして取り付けた。



できあがり。超低域だけはオリジナルの方が良く出ていたが、それ以外の帯域はだいたい綺麗に出るようになった。もちろん、オリジナルのようなドンシャリ感は無く、むしろ中音域が良く出て、ボーカルの音声が綺麗なスピーカーに生まれ変わりましたとさ。



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