NAMAアンプ
前回のハイブリッドアンプ、部品だけそろえてまだ組み立ててもいないってのに、新しく作っちゃったよ・・・

MIXIのコミュでYAHAアンプなるものの存在を知ったのですな。
作例を検索してみると、真空管にオペアンプのバッファをつけた単純なヘッドフォンアンプらしい。
まぁ、真空管らしい高電圧を使わず、ACアダプタで動くもっとも単純な構成です。

マニアックに音質を求めるだけじゃなく、こういうのもアリといえばアリでしょうね。何より気軽に作れるし、自作オーディオの門戸を広げてくれる。


しかし、だ。やはりこのYAHAアンプの構成では不満というか、欠点というか、「自分ならこうするのに」っていうのが目に付くのです。
具体的にいうと、
  • 真空管にかかる電圧が低すぎる。
  • オペアンプの出力インピーダンスが足りない。
という点です。最初の点はあえて低電圧を使っているのだ、という回路ではあるのですが、しかしそれにしても電源電圧は12Vだが、抵抗負荷なのでVp(真空管にかかる電圧)は実質6V程度しか取れていない。これではいかにも低すぎる。せめて電源電圧を全部使いたい。
もう一つ、ヘッドフォンを駆動できるオペアンプも存在するけど、普通は低インピーダンス出力のオペアンプでも600Ωくらいがせいぜい。これではスピーカーを駆動するなんてとても出来ない。ヘッドフォンも実は苦しい。ダイヤモンドバッファが付けばまだましなのに・・・。


そこで、「自分ならこうするのに」というのを元に、
  • YAHAアンプ並に単純な構成にする。
  • インターステージトランスを使用してVp=12V確保。
  • スピーカーを駆動する。
というアンプを設計してみました。名付けて「NAMAアンプ」。



上が回路図。片チャンネルあたり12AU7が1ユニットとトランス一個、コンデンサ一個、8ピンICが一個。
きちんとスピーカーを駆動できる真空管ハイブリッドアンプで、これ以上に単純なものは出来ないんじゃないでしょうか。


真空管は内部抵抗の低い12AU7を選択。入手性が抜群によいのと低電圧でもかなりまともに動作してくれるのでチョイス。入力が正の領域に振れても動作してくれるし、ヒーターが12Vなのもこの際は魅力。

インターステージトランスはSANSUIのST-24。ちっちゃなトランスですが、流れる電流がごくわずかなので大丈夫。これによりVp=12Vを確保し、BTL出力のための対称波形を出力します。

出力バッファは秋月で二個入り150円のNJM2073。8ピンDIPのパッケージに二個ユニットが入ったパワーアンプICで、BTL出力で2W出せます。

このNJM2073というIC、基本は内部に帰還抵抗を持ったパワーオペアンプなのですが、普通のオペアンプのようにボルテージフォロアで使おうとするとすぐ発振します。色々試行錯誤した上で、上のような回路になりました。12AU7だけではゲインが足りないので、このICにもゲインを受け持ってもらっていますが、BTL出力で完全に対称動作するので、IC部で発生する歪みは打ち消しあってくれます。


さて、作成。12AU7は部品箱の中にあった。ST-24はラジオデパートで購入。あまりにも簡単なアンプなので、あっという間に出来上がり。



ちっちゃくてもトランスがあると、俄然真空管アンプっぽくなるね。


鳴らしてみた感想ですが、これがびっくりするほど堂々と鳴ってくれる・・・!。ヒートシンクすら付かないNJM2073ですが、侮っていたかもです。おそらく出力にCを挟まないBTL構成なのと、インターステージトランスを使用したおかげできれいに対称動作させることが出来る(アプリケーションノートのBTL構成は方ユニットの出力を内部の帰還抵抗を通じもう片方の反転入力に入れるという変な構成)ことが大きかったのではないかと思っています。

初めての真空管工作とかに、結構おすすめします。



※追記:
作って終わるだけではなかなか惜しかったので、二号機を作成。変更点は電源ラインを強化してフィルムコンのカップリングコンデンサを追加したのみ。手前の黄色いのは、ゲインの調整に入れたノーブルの高周波用アッテネーター。
発熱がすごくて夏場は連続稼働できないA級アンプの後継として台所用のアンプにします。




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